
(殺処分をなくす一丁目一番地は自治体が狂犬病予防法に基づき犬の登録と鑑札装着を徹底すること)
1、攻撃性があるとして殺処分される犬を救うための考察(前回の考察)
(イヌが特定動物から除外された経緯から言える事)
http://banbihouse.blog69.fc2.com/blog-entry-7260.html
2、狂犬病予防法に基づいた考察(今回の考察)
狂犬病予防法における犬の登録、鑑札装着を行政が飼い主に徹底させることが大事です。
(殺処分をなくす一丁目一番地は自治体が狂犬病予防法に基づき犬の登録と鑑札装着を徹底すること)
1) 狂犬病予防法は「人のための法律」
先ず初めに理解しておかなければならないのは、狂犬病予防法とは厚労省が主管している「人間のための、人を守るための法律」であるということです。(
動物愛護だけの問題ではなく、何よりも人の命にかかわる法律だという認識を持つことが必要です。
第一条 この法律は、狂犬病の発生を予防し、そのま (ヽ)ん (ヽ)延を防止し、及びこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上及び公共の福祉の増進を図ることを目的とする。
狂犬病は人をはじめ、すべての哺乳類及び鳥類に感染します。現在のところ治療法もなく、一度発病してしまうと、必ず死亡してしまう恐ろしい病気です。
現在国内においては狂犬病の発生はありませんが、アジア諸国での発生は多く、いつ狂犬病が進入するか予断を許さない状況にあります。
ウイルスの海外からの侵入を許してしまうと狂犬病の流行を防ぐことは困難なので、重要となるのが狂犬病予防接種です。狂犬病予防法では飼い犬の登録と狂犬病予防注射が義務付けられていますが、接種率が低ければ、流行を抑えることができません。要は「狂犬病という人の病気を予防するために犬などの管理をしっかりとしよう」というのが狂犬病予防法の目的なので、自治体はこれに真剣に取り組まなければなりません。
2)狂犬病予防法が犬の飼い主に課している義務
人の命を守るために制定された狂犬病予防法では、犬の飼い主にいくつかの義務を課しています。
• 犬を取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合は、生後90日を経過した日)から30日以内に、その犬の所在地を管轄する市町村に登録の申請をし、鑑札の交付を受けること
• 犬の所在地の移動があった場合、届け出ること
• 毎年1回、4月から6月までに狂犬病予防注射を受け、注射済票の交付を受けること
• 鑑札や注射済票を犬に付けること
※上記のうちどれかひとつでも違反があれば、20万円以下の罰金または科料が科せられます
3)犬が殺処分される原因は犬の未登録と鑑札の未装着
どんな犬が殺処分になっているのでしょうか。
茨城県を例にとると、鑑札が無く放浪している犬達がセンターに次々に収容されてきます。野犬ではなく人に飼われていた、いわゆる所有者不明の犬達です。
センターの公表する資料では、平成28年度にセンターに収容された犬の総数1628頭の95%が所有者不明。29年度総数1325頭のうち97%が所有者不明です。収容数が多くなり収容スペースが足りないという理由で殺処分が行われています。
また、放浪していたためか警戒心が強くなる場合もあります。こうした犬達が、譲渡適性を見る判定で譲渡不向きとされて殺処分の対象になっています。
飼い主がきちんと犬の登録をして(迷子札の役目をもつ)鑑札を犬に装着してあれば、迷子になってセンターに収容されても飼い主のもとに戻すことが出来ます。
犬の殺処分の大部分は犬の未登録と鑑札の未装着が原因です。
4)行政の怠慢(不作為)が犬の殺処分を招いている
つまり、人の命を守り、犬を殺さないで済ませるために行政がやるべきことははっきりしています。①未登録犬を発見し、②登録させ、③鑑札を装着させることです。
残念ながら、例えば茨城県ではこの仕事がほとんど行われていません。
どういうことかと言うと、センターには、職員が住民を指導する際の「注意指導書」という書式がありますが、センターに確認したところ、ここ2年は出されていないし、そもそも、今まで出したことが無いそうです。
http://banbihouse.blog69.fc2.com/blog-entry-6913.html
注意指導書
登録を徹底し、全ての犬の戸籍がはっきりしないと、狂犬病が発生した際、自治体は措置がとれなくなるので、そのような意味からも行政の怠慢はあってはならないことなのです。
5)今すぐ、行政がすべきこと
① 未登録犬の発見
うろうろしている等、近隣からの苦情処理で飼い主を訪問した際に、犬が登録してあるかどうか確かめる。
センターに収容される犬が多く出る地域や住民からの情報を駆使して、ローラー的に戸別訪問をして、登録していない犬の発見に努める。
② 未登録犬の登録をその場で行う
まだ登録していなかったら、20万円以下の法違反であることを告げ、その場で、市町村に連絡し、登録の手続きを始める。登録済みの鑑札が飼い主元に届くよう手配を手助けをする。
③ 鑑札装着の確認を行う
鑑札をしていない犬に20万円の法違反であることを告げ装着を促すとともに、鑑札の発行、再発行の手続きの手助けをその場で行う。後日再び装着を確認する。
④ ①~③の記録を文書に残す。後述のGISシステムの活用も検討
茨城県でいうとことの「注意指導書」に記入し保管し定期的に、経過を確認する。
6)自治体によるGIS(地図情報システム)の導入が効果的です。
電子地図上に反映させ、継続してデータ収集し地域の正確な状況や取り組みの推移、進捗状況が誰にでもわかるようにシステムを作ることが、新しく効果的な手法です。地域の現在の状況、時間の経過による変化が一目でわかります。
川崎市では所有者不明の猫対策にGISを使い、表彰されています。ちなみに川崎市は犬猫ともに殺処分ゼロです。
(参考)
川崎市、第2回「地方公共団体における統計利活用表彰」第1次審査で「GISを活用した猫の適正飼養の普及啓発と支援(ひと・どうぶつMIRAIプロジェ クト)」で表彰
http://www.stat.go.jp/info/guide/rikatsuyou/pdf/result1_2017.pdf
GISが犬の苦情処理や未登録犬の発見、鑑札装着推進に役立つ理由は以下の通りです。
※情報把握がしやすく
※県全域、および特定地域の情報を管理できるようになり、
※苦情の多い地域や、犬の収容数の多い地域を把握しやすくなり
※問題を点ではなく面で見ることができより正確に俯瞰できる。
※経過追跡記録することで、やりっぱなしが無くなる
※担当職員の異動や退職による記録の分断がない。
茨城県へ犬猫救済の輪からの要望書
前略、年度末のお忙しい時に失礼いたします。かねてより、大井川知事は犬の殺処分を減らすためには
① 収容スペースは新たに広げることはしない。
② 入り口対策をして、犬のセンターへの収容を減らすことに尽きる
と発言されています。
収容スペースを広げずに、入り口対策だけで殺処分を減らすためには、具体的にどんな対策を行っているのかを明確にしていただき、更に確実で有効性のある措置をお取りいただく必要があると考えます。
つきましては、新年度から実施していただきたいことを以下の様にご要望申し上げます。何とぞ前向きにご検討下さいますようお願いいたします。
要望1 センターに収容される犬が多い市町村を戸別訪問して未登録犬の発見、登録手続きの開始(市町村への連絡)を始めてください。苦情等があり、出向いた先でも同様。
要望2 鑑札をつけていない犬について飼い主にその場で鑑札をつけるよう指導し、紛失の場合はその場で手続を開始する(市町村への連絡)
要望3 要望1、2、で行った記録でもある「注意指導書」の枚数や概要を毎月県のホームページで発表して下さい。(最低限、発行した注意書の枚数)
要望4 この問題の経過を可視的に経年的に把握するためにGIS地図情報システムの導入をお願いします。環境省もGIS導入には積極的です。
ご検討の結果を大変勝手ながら10日程度でご回答のほどお願い申し上げます。
令和2年3月27日
犬猫救済の輪代表 結 昭子
☆長崎県佐世保市多頭犬猫レスキュー
4月より搬送を開始できるように受け入れ態勢を整えます。

佐世保の犬猫につきましては、一頭でも、里親になっていただけます方がいらっしゃいましたら、是非、ご連絡下さい。
いくつか条件もございますが、詳細につきましてお話をさせて頂きます。当会では、猫の引取り準備を進めておりますが、中型犬の引取りは収容場所がなく不可能です。一頭でもお引取りいただけます方がいらっしゃいましたらとてもありがたいです。宜しくお願い申し上げます。 メールフォーム
佐世保の犬猫レスキューに関わる費用にご寄付を賜れましたら有難いです。
フード等の維持費、搬送用備品キャリーケース等、駆虫、ワクチン、フィラリア薬、空輸費用等に使わせていただきます。
支援金振込先
・郵便振替 口座番号 00240-3-17767 口座名義 犬猫救済の輪
・横浜銀行 大島支店 普通預金 口座番号 1189874 口座名義 犬猫救済の輪
郵便振替は、通信欄に使途目的(佐世保)と明記下さい。銀行振込の場合、お名前の欄以外は通帳に記入されません。お名前の前に (佐世保)とご入力下さい。